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あたしは部屋の鍵を閉めながら。
「『じゃあ帰るぞ…』って、ここはあたしのおうちだよね?」
あたしの独り言は、思わず口から飛び出していた。
おまけに声が大きかったようで和也さんに聞こえていたようだった。
「今夜は、一緒に居たいんだけど……ダメかな?」
振り返って見上げると、ちょっと恥ずかしそうな表情の和也さんの顔。
そして逸らせないぐらい真っ直ぐな瞳で見ている。
「えっ!?あ、ごめんなさい。
別に大した意味はなくて。
ここはあたしの家なのに、和也さんちがあたしの家になるって事に、とても不思議な感覚を覚えたのでそれで、つい」
ダメだ……しどろもどろ。
おまけに意味不明……
「璃子がここで一晩過ごしたいなら、俺もここで一緒に過ごすけど?」
和也さん。あたしの方が恥ずかしいくらい、さっきからものすごく甘いことおっしゃってますけど?
「いえっ、別に、いいんです」
「じゃあ、帰ろうか?」
「はい」
和也さんに一緒にいたいなんて言われて嬉しいやら……
めちゃめちゃ恥ずかしいやら……
あたしのちっちゃな心臓が、身体の中で暴れまわっていた。
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