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車が走り出し、実家が見えなくなると、あたしは、すべての緊張から解放され、自然と大きなため息が出た。
それを見てクスクス笑う和也さん。
「大丈夫?」
「はい。大丈夫なのですが、
こんなに緊張して疲れるとは思っていませんでした。
和也さんは、疲れませんでしたか?」
「全然。とてもご理解のある素敵なご両親だったし、とても楽しかったよ」
運転する和也さんの横顔を見ると、なんだか本当に清々しい笑顔で……
素敵なご両親と、いわれた事にも、あたしはホッとした。
「お母さんも楽しい方だね」
あっそうだ!帰り際に和也さんに何やら耳打ちしてたもんね。
「母、帰り際に何て言ったんですか?」
「んっ……知りたい?」
「知りたい!」
「お父さんは、おじいちゃまに手を出さないって言ったけど、手を出したのよっ!だから、和也さんも璃子に手を出してもいいからねっ!って……」
「お母さんたら」
まったく。聞いたあたしが恥ずかしくて真っ赤になっちゃうよ。
「だから、大丈夫です。おまかせくださいって言っといたから!」
「えっ!?」
それもそれで恥ずかしい。あたしは、ますます真っ赤になった。
そして、和也さんは、あたしの手を握り
「璃子、一緒に幸せになろう」
と、力強く言った。
あたしは、はにかみながら
「……はい」って頷いた。
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