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触られたくない荷物は、段ボールひとつに収まった。
それを和也さんが持ってくれて、和也さんのマンションへ。
部屋に入ると、和也さんは、ひとつ空いている部屋のドアを開けた。
「ここが璃子の部屋だよ」
クローゼットがついていて、12畳はある広いお部屋。
今まで使っていないことがなんとももったいない広い空間。
明かりを点けると、和也さんはクローゼットを開けて、持っていた段ボールを置いた。
「好きに使っていいから」
「ありがとうございます」
ここが、明日からあたしのお部屋になるんだ。
正直、あまりにいろんな事がどんどん進んで、気持ちが付いて行けていない。
あたしが、なんとも言えない戸惑いの表情をしていたのか?
和也さんは、何かを察してあたしを抱きしめた。
そっと、ギュッと包み込むように。
「璃子、慌てなくていいんだよ。
ゆっくりここに馴染んで、ふたりの空間を作っていこう」
和也さんは、囁いた。
いつもそう。和也さんは、あたしの気持ちを一歩前から見ていてくれて……
そっと優しく包んでくれる。
あたしは、和也さんの胸の中で、そっと頷いた。
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