◇◇ 第14章 引越し ◇◇

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触られたくない荷物は、段ボールひとつに収まった。 それを和也さんが持ってくれて、和也さんのマンションへ。 部屋に入ると、和也さんは、ひとつ空いている部屋のドアを開けた。 「ここが璃子の部屋だよ」 クローゼットがついていて、12畳はある広いお部屋。 今まで使っていないことがなんとももったいない広い空間。 明かりを点けると、和也さんはクローゼットを開けて、持っていた段ボールを置いた。 「好きに使っていいから」 「ありがとうございます」 ここが、明日からあたしのお部屋になるんだ。 正直、あまりにいろんな事がどんどん進んで、気持ちが付いて行けていない。 あたしが、なんとも言えない戸惑いの表情をしていたのか? 和也さんは、何かを察してあたしを抱きしめた。 そっと、ギュッと包み込むように。 「璃子、慌てなくていいんだよ。 ゆっくりここに馴染んで、ふたりの空間を作っていこう」 和也さんは、囁いた。 いつもそう。和也さんは、あたしの気持ちを一歩前から見ていてくれて…… そっと優しく包んでくれる。 あたしは、和也さんの胸の中で、そっと頷いた。
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