◇◇ 第15章 ふたりの生活 ◇◇

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「さぁ、温かいうちに食べよう」 和也さんは、そう言うと椅子を引いてあたしを座らせた。 和也さんはビール、あたしにはカクテルをグラスに注ぐ。 グラスを持った和也さんは、 「よく来てくれたね。俺への誕生日プレゼント……叶えてくれてありがとう」 と、言って、あたしのグラスと合わせた。 恥ずかしげもなくサラリと紡がれる感謝の言葉に、あたしの心はキュンとなる。 「こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いいたします」 「言い直し!」 「えっ!?」 必死に絞り出した気持ちを……言い直し!? 「璃子とは、普通に会話したいんだ」 あっ…… 「和也さんありがとう。あたしも嬉しいです。これからよろしく……ね」 真っ赤になりながらも必死に気持ちを言葉にした。 「『さん』は要らないなぁ~。まだまだだけど、これからに期待して、今日は合格かな?」 微笑む和也さんは、とても嬉しそうで、幸せそうで あたしの心までもが温かくなった。 あなたと一緒にいられたら…… あたしはきっと幸せ。 あなたの笑顔を見ていたいから…… あたしもあなたに笑顔を贈りますね。 あたしの中の静かな愛は、ゆっくり育ち始めた。
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