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「さぁ、温かいうちに食べよう」
和也さんは、そう言うと椅子を引いてあたしを座らせた。
和也さんはビール、あたしにはカクテルをグラスに注ぐ。
グラスを持った和也さんは、
「よく来てくれたね。俺への誕生日プレゼント……叶えてくれてありがとう」
と、言って、あたしのグラスと合わせた。
恥ずかしげもなくサラリと紡がれる感謝の言葉に、あたしの心はキュンとなる。
「こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
「言い直し!」
「えっ!?」
必死に絞り出した気持ちを……言い直し!?
「璃子とは、普通に会話したいんだ」
あっ……
「和也さんありがとう。あたしも嬉しいです。これからよろしく……ね」
真っ赤になりながらも必死に気持ちを言葉にした。
「『さん』は要らないなぁ~。まだまだだけど、これからに期待して、今日は合格かな?」
微笑む和也さんは、とても嬉しそうで、幸せそうで
あたしの心までもが温かくなった。
あなたと一緒にいられたら……
あたしはきっと幸せ。
あなたの笑顔を見ていたいから……
あたしもあなたに笑顔を贈りますね。
あたしの中の静かな愛は、ゆっくり育ち始めた。
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