◇◇ 第15章 ふたりの生活 ◇◇

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翌朝目覚めると、和也さんの姿はすでにベッドにはなかった。 それもそのはず、時刻はお昼前だった。 コーヒーのいい薫りが辺りに漂う。 まさに、初めてここに泊まった日と同じだった。 あの日のデジャヴかと思うくらい。 20畳はあるかと思われる広い寝室、中央にキングサイズのベッドがおかれ、少しのグリーンと整頓された棚があるのみ。 贅沢な寝室。 あの日と違うのは、あたしの気持ちとふたりの関係…… あたしは、ギュッと目を閉じて幸せを噛みしめた。 重い体を引きずりながら扉を開けると、部屋中に広がったコーヒーの薫りに包まれた。 「おはよう璃子」 その声の主は、そう言うとあたしに歩みより、そっとあたしを抱きしめた。 「おはようございます」 ふんわりとコロンの香りが鼻をくすぐる。 寝るときに包まれる、安心できる薫り。 見上げると、微笑んだ和也さんがいた。 「大丈夫か?今日は、ゆっくり過ごそうか」 「ありがとうございます」 あたしは、和也さんの優しさに甘えた。
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