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あたしたちを、一番奥の個室に案内した更科さんは、あたしと和也さんの間に椅子を前後反対に置いて、股越して座ると、あたしたちを見比べた。
「っで、いつから暮らしてんの?」
「4日前から」
「ふ―ん。和也、イヤらしいな」
「なんだよそれ」
「別に、深い意味はない」
そう言うと更科さんは、今度はあたしに向かって話しかけた。
「っで、まだ食べられてないんだ?」
「えっ!?」
あたしは一瞬で頬を真っ赤に染めた。
「やっぱり」
更科さんは、勝ち誇ったように、ふふんと笑った。
「なっなんで?わかるんですか?」
あたしは気になって反対に質問した。
「ん―っ、空気?
まぁ、今までの経験かな?」
「へぇ……」
「こら璃子、感心するなっ」
和也さんが、突っ込む。
急に真顔になった更科さんが、あたしに呟いた。
「璃子ちゃん。幸せにね」
更科さんの会話の緩急にドキリとしながらも、うれしくて、あたしはコクリと頷いた。
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