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足音に気づいて振り向くと、和也さんが中庭に歩いて出てきていた。
「璃子」
木の下にいるあたしの前に来た和也さんは、あたしを愛しそうに見つめ、微笑むと
何も言わずにあたしを抱き寄せ深いキスをした。
前回のプロポーズの時とは違う深いキス。
逞しい両腕に強く包まれ、動きも思考も制限されて奪われていく……
あたしは、抵抗せずにすべてを受け入れた。
風が木々の葉を揺らし、周りの雑踏をかき消す。
部屋の中からは、更科さんが微笑んで、そっとふたりを見守っていた。
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