2583人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に戻ると、料理が用意されていた。
ふたりで向かい合って食べる。
ひと言、ふた言、交わす会話。
とても穏やかな時間が流れた。
最後のコーヒーを飲み始めた頃、更科さんが袋を片手にやって来た。
「璃子ちゃん、これプレゼント。開けてみて」
渡された包みをそっと開く。
中から純銀の写真立てが出てきた。
中には、ふたりがウェディングドレスとタキシードで幸せそうに写っている。
先日撮った写真が、はめ込まれていた。
「わぁ!」思わず声をあげる。
「綺麗だろ!本当は、パンフレットに使いたかったんだけど、和也に止められたから、写真のみで。
でも、ここのお店だけには、飾らせてもらうからね」
写真の中のふたりは、とても穏やかな愛の光を放ち、見つめあっていた。
和也さんが、今まであたしが見た中で1番優しい笑顔を出した瞬間の写真。
あたしの心を鷲掴みにし、蕩けさせた笑顔が、そこに収められていた。
「ありがとうございます。大切にします」
お礼を言うあたしに、更科さんは、うれしそうに頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!