◇◇ 第15章 ふたりの生活 ◇◇

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部屋に戻ると、料理が用意されていた。 ふたりで向かい合って食べる。 ひと言、ふた言、交わす会話。 とても穏やかな時間が流れた。 最後のコーヒーを飲み始めた頃、更科さんが袋を片手にやって来た。 「璃子ちゃん、これプレゼント。開けてみて」 渡された包みをそっと開く。 中から純銀の写真立てが出てきた。 中には、ふたりがウェディングドレスとタキシードで幸せそうに写っている。 先日撮った写真が、はめ込まれていた。 「わぁ!」思わず声をあげる。 「綺麗だろ!本当は、パンフレットに使いたかったんだけど、和也に止められたから、写真のみで。 でも、ここのお店だけには、飾らせてもらうからね」 写真の中のふたりは、とても穏やかな愛の光を放ち、見つめあっていた。 和也さんが、今まであたしが見た中で1番優しい笑顔を出した瞬間の写真。 あたしの心を鷲掴みにし、蕩けさせた笑顔が、そこに収められていた。 「ありがとうございます。大切にします」 お礼を言うあたしに、更科さんは、うれしそうに頷いた。
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