◇◇ 第15章 ふたりの生活 ◇◇

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連休最終日になると、映画など、ふたりの時間を満喫しつつも、さすがに和也さんも仕事の準備を始めた。 寝室の隣の部屋の和也さんの書斎。 あたしの部屋よりも広くて、大きなソファーも置いてある。 あたしは、そのソファーに座って、パソコンや書類に向かう和也さんの横顔を眺めていた。 あたしがよく知る『仕事の顔』だ。 この9連休で、あたしは今まで知らなかった和也さんをたくさん知った。 バタバタとあたしの両親に会いに行き、翌日引っ越しと、なんて慌ただしいんだなんて思っていたんだけど。 きっとこれも和也さん…… あなたの計算通りね? そうなんでしょ? おかげで、上司と部下に戻る時間から離れ、ゆっくりふたりの時間を取ることが出来て あたしはこんなにあなたに心を開いてしまった。 明日から、あたしは会社であなたを冷静に見ることが出来るのだろうか? 『仕事の顔』で接せられた時に、うまく対処が出来るのだろうか? あたし、少し自信がないよ。 あたしは、自分でも理解出来ない溢れる気持ちに押し潰されそうになっていた。
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