◇◇ 第15章 ふたりの生活 ◇◇

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連休最後の夜。あたしは立っていた和也さんの背中に、初めて自分から抱きついた。 「璃子、どうした?」 不思議そうに優しい声で和也さんが囁いた。 「しばらく、ちょっとでいいの。少しこのままでいて」 和也さんは、あたしが回した手をそっとさすった。 「どうした?言ってごらん」 和也さんの優しさが心に染み渡る。 あたしの手を解くと、和也さんは、あたしを正面から抱きしめた。 「思っていることを、言葉にしてごらん……その約束だよ」 和也さんは、あたしの頭を撫でながら囁く。 「わかんないけど、心が……苦しい」 あたしは、表現しづらい心を伝えた。 「そうか、苦しいか」 ひと言弱音を口にした瞬間から ダメだ!あたしったらなんて子どもなの!? こんなに甘えてちゃダメよ! と、もうひとりのあたしがダメ出しする。 「なっ、何でもないの!」 あたしは、我に返ると和也さんから離れようとした。 でも、和也さんは、抱きしめた手を緩めてくれない。 「はっ、離して!」 必死に告げるあたしに 「駄目だよ。まだ気持ちを吐き出せてないだろ? 自分の気持ちに蓋をせず、きちんと言わなくちゃ」 和也さんは、あたしを上から優しく見つめた。
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