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「きちんと、少しずつ言葉にしてごらん」
和也さんの優しい問いかけに、あたしの心の声が引き出される。
「なんだか……怖いの」
「怖い?」
「なんだか……なんだか……」
「ゆっくりでいいから、思っていることを言ってごらん」
和也さんは、子どもをあやすように、あたしの背中を擦ってくれる。
「和也さんと……」
「俺と?」
「明日から会社に行ったら……和也さんと、また距離が出来そうで……怖いの」
「距離!?こんなに傍にいるのに?」
「……」
確かに。でも、この得体のしれない気持ちは……一体なんなの?
自分の気持ちなのに、わからなくなる。
「そうか、まだ本当の気持ちがあるだろ?言ってごらん」
「……」
「まだ、本音があるよ?それを言ってごらん」
あたしの本音が、和也さんの優しさによって、みっともないぐらい引き出される。
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