2254人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしは、思わず、ぷっと膨れっ面をした。
最近、いつもこんな感じであたしの心の暗幕が、あっさり剥ぎ取られる。
それだけ、和也さんの手のひらの上で転がされているって事なんだけど。
いまいち納得がいかない。
でも、和也さんは、そんなことお構い無しで、あたしの不安の芽を摘む。
「璃子おいで」
そっと腕を広げて和也さんが呼ぶ。
あたしは、飼い主に呼ばれた子犬のように歩み寄った。
近づくと、和也さんに腕を引かれ、その胸の中にすっぽりとおさまる。
ひと呼吸置いて、和也さんが話し始めた。
「優輝と俺は、あっあと更科も、高校からの同級生で、冴子は大学からの同級生。
そして当然、今までに冴子と男女の仲になったことは無い。もちろんこれからも無い!わかった?」
えっ、そうなの!?
あたしのちっちゃな疑問は、あっさり解決される。
でも、本当は嬉しいくせに、素直になれないあたしは
「そんなこと、全然気にしてないし」
と、強がりを言った。
それを聞いて、和也さんはクスッと笑ってあたしの頭を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!