◇◇ 第17章 交錯する想い ◇◇

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「璃子、一緒に帰ろうって言っておきながら、悲しい思いをさせてしまってごめん」 「えっ」 思わず顔を上げると、和也さんの曇りの無いまっすぐな瞳と視線が絡まる。 「冴子は、何か勘違いをしていたようで、今、きちんと誤解を解いてきたよ。俺と璃子が結婚を前提につき合っている事、一緒に暮らしていること……全部話してきた。本当なら、もっと早くに話しておかなくてはいけなかったのに、なかなか話せる機会が無くて、遅くなってしまった。璃子に嫌な思いをさせてしまって、本当にごめん」 ……なっ!? 素直にすべてをさらけ出す和也さんに、ますます、あたしの分が悪くなった。 和也さんの右手が、あたしの左頬にそっと触れる。 穏やかな表情と見透かすような視線に、目が逸らせない。 あたしが悪いわけではないと思いたいけど、きっと優輝さんがキスをしたことには、あたしにも責任がある。 でも……でも! あたしは、いたたまれなくなると同時に、重すぎる罪悪感から解放されたくて、素直に心の言葉を吐き出した。 「……ごめんなさい」 「何が?」 何がって……見てたんでしょ!? 和也さんの態度に心が動揺する。 わざと言わせたいのだろうか? それとも本当に見てなかったのか? あたしは、自白を強要される追い詰められた犯人のような気持ちになった。
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