◇◇ 第17章 交錯する想い ◇◇

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エレベーターに乗ると、和也さんは何事も無かったかのように優しく話始めた。 「カフェに行ってきたんだね」 きっと、あたしからコーヒーの薫りがしたのだろう。 「……はい」 あたしは、緊張から、どこか一線引いた受け答えをしている。 「楽しかった?」 「……はい」 和也さんに優しく声をかけられればかけられるほど、あたしには後ろめたい事が多すぎて、普通の会話すら、責められているように感じる。 勝手に責められていると感じたあたしは 「和也さんも冴子さんと楽しかった?」 と、聞きたくも無いことを口走っていた。 扉を開け、玄関に入る。 自動で玄関の明かりが灯る。 早く逃げたい気持ちからか?あたしは慌てて部屋に上がろうとしていた。 和也さんの手が、あたしの左手首をグッと掴んだ。 振り返ると、和也さんが穏やかに澄んだまっすぐな瞳で、あたしを見つめている。 別れを切り出されるのか? 怒られるのか? あたしは、有りとあらゆる『負』のイメージを想像していた。 だけど、和也さんがあたしにかけた言葉は、意外にも違うものだった。
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