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ずいぶん長い間抱きあっていた。
そっと唇が離れた時には、あたしは息が上がり、ぼんやりと和也さんを見つめていた。
「大丈夫か?」
穏やかな声が降り注がれる。
あたしは、コクンと頷いた。
和也さんは、愛しむようにあたしの頭を自分の胸に押しつけた。
「今日は、いろんな事がありすぎたな」
あたしを労うように、そっと呟いた。
「……うん」
本当に、いろんな事がありすぎた。
「璃子、どんな事があっても、必ず俺の元へ戻って来い!俺は、ここで璃子を待ってるから、安心して帰って来い」
ゆっくり、優しく囁かれる言葉は、深くあたしの心に届く。
「……はい」
あたしさえ見失わなければ、必ずある灯台のような存在をうれしく、頼もしく感じた。
今日だけで、何度もあったすべての緊張から一気に解放されたあたしは、その場で、和也さんを掴んだまま意識を失うように倒れ込んだ。
「璃子……」
大好きな和也さんの声が聞こえる。
お願い……
ずっとあたしのそばにいて……
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