◇◇ 第18章 社員旅行 ◇◇

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******** 俺は、階段から降りてくる所から璃子の存在に気づいていた。 湯上がりで、髪をアップにして小さな顔が、ますます小さく見える。 遠目に見ても、とてもきれいな浴衣姿。 璃子、そんな格好で降りてきたら、マズイだろ!なんて、みんな同じ浴衣姿なのに、心の中で、璃子にだけ注意してみる。 てっきり、すぐここに村上が連れてくるだろうって思っていたのに、ふたりは途中で立ち止まった。 やっぱり来づらいか…… 俺は静かに人だかりから抜け出た。 「璃子」 声をかけると、黒目がちの大きな瞳を見開いて、驚いた顔をして俺を見上げる。 でも、その表情は明らかにうれしそうで。 あまりに素直な反応に…… 今すぐにでも抱きしめそうになる。 堪らなく……かわいい。 ******** 「よかった。松本部長が来てくださって」 村上姉さんが、ホッとしたように話しかけた。 「来づらかったんだろ?」 「そんなとこです」 ふたりが話しているのを聞きながら、あたしは、とてもうれしかった。 すぐに、坂本さんも「由香里!」なんて言いながらやって来て、優輝さんも冴子さんも、結局、人だかりがそのままズルズルと移動して、村上姉さんとあたしは、吸収された。 その直後、 「どうぞ、お待たせいたしました」 と、いうホテルの方の誘導で、開場した。
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