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「じゃあ、俺からもひとついいかな?」
「何ですか優輝さん」
私は余裕で優輝さんに相槌を入れた。
「じゃあ、金曜日、俺は、由香里が酔ったフリをして坂本の腕につかまってるのを見たんだが?それは誰に指図されたのかな?」
「げっ……」
やっぱりトップセールスは、一筋縄ではいかない。
私は、ゴクリと息を飲んだ。
「そうだなぁ。俺が、由香里の酔ったフリを見たのは……去年の社員旅行の時と、この前の金曜日の2回だなぁ。
だいたい酒豪のお前と冴子が酔うなんておかしいだろ?なんなら俺と飲み比べして本当に酔わせてみてもいいけどなっ」
チラリと、優輝さんは、私を見た。
「はいはい。白状しますよ。」
「素直が一番だな!由香里ちゃん」
「もぉ……」私は観念したかのように話始めた。
「冴子さんに頼まれたんです。優輝さんと璃子を一緒に帰らせたいからって」
「それで?」
「冴子さんが、松本部長に絡むから、由香里は坂本さんに寄り添えって。そしたら、璃子は気を遣って1人で帰ろうとするからって」
「そう言うことか」
あの時、俺には見えない味方が2人いて……
和也には、見えない敵が俺を含めて3人いたのか。
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