◇◇ 第18章 社員旅行 ◇◇

25/25
前へ
/40ページ
次へ
  浴衣姿の和也さんは、いつもの寝間着姿より、きれいな鎖骨と逞しい胸元がチラリと見えて、男の色香が漂っていた。 まだ全部見たことの無い、新たな素肌の小出しに、あたしの心臓は、バクバク言っていた。 毎晩、この身体に抱きしめられて眠っているなんて…… 冷静に客観的に見ると、ますますあたしの心臓が暴れ始める。 これでは、あたしの方が変態だ! そのくらいに、和也さんの男の色気は、あたしのそれより勝っていた。 「璃子、きれいだよ」 会場に向かって少しずつ歩きながら、突如耳元で和也さんが囁く。 ふわりと薫る和也さんの柔らかなコロンの香りにも煽られて、あたしは、一瞬で真っ赤になる。 きっと和也さんのいたずら心に火が着いたんだ。 「髪をアップにして、襟足がなんだかイヤらしいな。もしかして誘ってる?」 「ちっ、違うし!」 どもるあたしに、村上姉さんが笑う。 和也さんは、そんなあたしの様子を楽しんでいた。 会場内は、とても広かった。 席は決まってはいないけど、一応役職などの気を遣った配置を心がけながら、それぞれ課ごとや、仲良し同士で座る。 特に海外事業部は、その独特な仲の良さで、若い方たちが席を取り、優輝さんや冴子さんを招き入れていた。 そして、当然ふたりと仲のよい和也さんも呼ばれ、最近、優輝さんと噂になってるあたしも席に呼ばれた。          
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2302人が本棚に入れています
本棚に追加