ずっとそばにいてくれたね 第10話

6/15
2277人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
週末は、いつも以上に和也さんがあたしとの時間を割いてくれていた。 初めは、ちょっと後ろめたくて距離を縮められなかったあたしを、半ば強引に傍に引き寄せていた。 まるで、『ここの2人の気持ちが、ブレてはいけないんだ』 とでも言っているかのように…… あたしも、そんな和也さんにそっと甘えて寄り添っていた。 日曜日の夜。 「璃子、明日、総務に行って、今度の週末の社員旅行。行きのバスキャンセルしておいで」 和也さんは、何かを決めたかのように突然言った。 「えっ?」 あっ、そうだった社員旅行だった。 11月の初っぱなに予定された社員旅行。 温泉に行くとか言ってたっけ? っで、どうして行きのバスキャンセルなの? 不思議な顔で和也さんを見ると、ちょっと恥ずかしそうに話を続けた。 「俺が、商談が入ってるから……」 それはもちろん知ってる。だってあたし松本部長担当だもん。 「だから、俺が商談終えてから車で連れていくから、璃子はここで待ってろ。 総務には、商談に一緒に行くことにして、バスをキャンセルしておいで」 「それって?」 「ふたりで行こう」 キャッうれしい!あまりのうれしさに、胸が、キュンと鳴き声をあげた。 「ただ、帰りは、そのまま出張だから、送ってやれないんだ。だから、バスで帰ってもらわないといけないんだけど……それでもいいかな?」 「はいっ」あたしは、めちゃめちゃいいお返事をした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!