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「ほらほら璃子ちゃん大丈夫?」
あたしは、ウンウンと首を上下に振って頷いた。
村上姉さんの納得のリアクションだったのか?次の話題に話が移った。
「あっ、今週社員旅行じゃん!?璃子準備した?」
「あの村上姉さん、あたし行きは一緒に行けなくて。帰りは同じバスなんですけど」
「行きはどうするの?」
「あの、松本部長の商談に一緒に同行になりまして、松本部長の車で送っていただく事になるんですけど」
あたしは、和也さんに言われた通りに話した。
「ふ―ん。そっかじゃあ仕方ないね。ホテルで待ってるから、早く来れるといいね」
いつもとは違い、あっさりと引き下がった村上姉さんの態度に、ちょっと驚きながらも、あたしはそれ以上追及されず、ホッとした。
その時だった。
「璃子、隣いい?」
いつもの穏やかな声がした。
「あっ!優輝さんどうぞ」
村上姉さんが席を勧めた。
あたしは、一気に心臓がマックスバクバク言い始めた。
「あっ、あの、あたし総務に行くので、よかったら、どうぞ」
優輝さんと一瞬視線が絡んだ。
トクンッ……心臓が音をたてる。
そこには、いつもと同じ穏やかな眼差しがあった。
でも、あたしはそれ以上優輝さんの視線に耐えることが出来なくて、そのまま立ち去った。
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