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『橘さんの酒』の説明を受けたあたしは、とても心配になった。
「大丈夫!璃子は、松本部長がすぐに助けに来るから」
「えっ。でも、そんなに飲まされるのに来てくれますでしょうか?」
「えっ知らないの?松本部長も優輝さんも冴子さんもみんなめちゃめちゃ酒豪で、どんなに何人がかりで飲ませても、酔って崩れてる姿を見た人なんていないんだから!」
「そうなんですか?」
じゃあ、この前冴子さんが和也さんの腕に絡みついてたのって……いったい?
ちょっと引っ掛かったが、考える隙も与えられず、村上姉さんの会話は続いた。
「今夜、璃子が飲まされて、噂の優輝さんじゃなくて、松本部長が助けに来たら……
ビックカップル誕生で、一気に盛り上がるわねぇ~
おまけに公認の仲になれるのよ!やったね璃子っ」
めちゃめちゃ嬉しそうに話す村上姉さんに
あたしは、あえてコメントを避けて、苦笑いを返した。
「村上姉さんと坂本さんもこの宴会で公認の仲になったんですか?」
「キャッ璃子ったら!実はそうなの。あたしもどちらかと言えば飲めるクチなんだけど、去年、わざと酔ったふりして坂本さんに助けてもらったの!……思い出すわぁ」
頬を赤く染めた村上姉さんは、その企みとは程遠く、とっても乙女だった。
その姿を見ながら、あたしも和也さんが来てくれたらいいなぁ。なんて思いを馳せた。
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