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だからと言って、退く俺じゃない。俊平と一馬さんの試合を見たばかりと言うこともあり、寧ろ燃えている。
ぶっ潰してやる。
「"重力球"!」
特大の重力球を猫宮アリスへと放つ。そして更に
「"頭が高ぇ"」
猫宮アリスに重力を直接かけ、動きを止める。俺のお得意のコンボを前に猫宮アリスは、歌った。
「"守りの歌"」
全てを包み込むような歌を俺が聴いたと理解した途端、重力球も猫宮アリスにかけた重力も消えてしまった。
「良い顔だねぇ。最ッ高に良い顔してるぜボーイ! さぁ、もっと絶望しなァ!ーー"虹色の世界"」
次に歌われたのは、荒々しいテンションの上がるような激しい曲。
だが俺のテンションは、一気に下降する。
目の前に広がる、真っ赤な世界。
どこかの宮殿だろうか、そんな場所にいる俺。
見える景色は確かに絶望してしまう。
十字架に張り付けにされ、辺りは燃えている。燃えて次々と柱や家具が倒れてくる。
体が熱い。喉が熱い。目玉が熱い。
張り付けにされ、身動きの取れない俺に一人の男が近付き、熱された金属を押し当てようとしてきた。
その金属が触れる瞬間、今度は静かで落ち着く曲が聞こえてきた。
そして目の前の景色は、絶対零度の氷の世界へと変わった。
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