我儘姫の歌声

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そんなわけない。そう口にしたいのに、出来ない。俺は本当に今猫宮アリスに惹かれてしまっている。 「これでさ、これでさっ、これでさっ! 君も君の彼女さんも絶望するよね! もしかしたら別れちゃうかもね! あ~、ヤバイ。興奮してきた……」 蕩けた顔で猫宮アリスは話す。人の不幸が幸せだと言っているこの人の性格が最悪だと理解した。 それなのに俺は、この人から目が離せない。 「良い顔してるね。ご褒美にちゅーしてあげよう。こっちへいらっしゃい」 手招きする猫宮アリスの下へと俺は一歩ずつ近付いて行く。 今の俺の気持ちを表すなら、なんだろう。少女漫画とかである嫌いなのに気になっちゃう。って感じ。 そんな事を考えている内に俺は猫宮アリスの目の前まで来た。 「貴様、我を愛するか?」 「はい、愛します」 条件反射のようにそう口にした俺に猫宮アリスはよろしい。と、俺の唇に自身の唇を近付ける。 その唇が触れるその瞬間、 「なんて、んなわけねぇだろ!」 俺は猫宮アリスに腹パンをかました。
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