我儘姫の歌声

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「イイね、最ッ高にバカで良い感じだよ! あーやッばい。惚れちゃいそう」 いくつもの岩が落ちる中、その中心で猫宮アリスは笑い、語る。 俺の攻撃は彼女を狙っている筈なのに、彼女に近付くと同時に岩が砕け散っている。 「だったら、"隕石"」 上空の岩を砕かず、凝縮した状態で猫宮アリスへと落とす。 今度のこれはちょっとやそっとじゃ破られない。 「私が惚れた君にプレゼントを贈ろう」 自らに向かって来る巨大な隕石を前にして、猫宮アリスはニヤリと笑う。 「ご褒美だ。私様の全力を見せてやる」 猫宮アリスが歌う。そして隕石は塵と化し、今までとは比べ程にならない速さで猫宮アリスが近付いてくる。 そして初めの軽い攻撃をしていた人と同一人物とは思えない程に重い一撃を俺の土手っ腹にくらわせ、俺の耳栓を抜き取る。 『聞くのは一番ヤバイ』 皐月マリアの言葉の意味を理解する。 この耳栓、何の役にも立たないと思っていたが、ちゃんと意味はあった。 生でこの人を歌を聴いてしまった俺は、何が起こったのかわからないまま意識が遠退いていった。
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