我儘姫の歌声

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そこから先のことは正直思い出したくない。 俺の人生の中での思い出したくないないトラウマが何度も繰り返される。 恐らく神経も支配しているのだろう。俺の体に泣き出したくなるような痛みが生じる。 またあるはずのない、それかこれから起こるかもしれない映像まで体験させられる。 友達が殺される事、家族が殺される事、そして奏が殺される事。 俺は何も出来ず、ただそれを見る事しか出来ない地獄の映像。 猫宮アリスが何度も口にした言葉。 なるほど、これが絶望か。 猫宮アリスの恐い所は身体能力でも魔法のチートさでもない。 彼女の人間性だ。 人を絶望させる事に喜びを感じる異常な感性は、人を容赦無く傷つける事が出来る。 俺はそんな彼女が恐くて、たまらない。 でもさ、頑張って言われたんだよ。頑張るって言ったんだ。 だったら最後まで諦められるかよ。
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