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「起きろぉぉぉおおおおぃ!」
その喧しくうっとおしい声で俺の意識は戻る。
目覚めたのは、先程まで戦っていた闘技場。どうやら意識がなくなったすぐ、俺は起こされたらしい。
俺の体に傷や疲労が見られない所を見ると、猫宮アリスが回復魔法的なものを使ってくれたようだ。
「私様相手に良くやった。中々の実力、そして強い精神力を見せてもらった」
「………はぁ、どうも」
「ご褒美のちゅーをお姉さんがあげちゃうよー!」
「……ふぇっ?」
猫宮アリスの言葉を理解するより先に俺の頬に猫宮アリスの唇が触れる。
「今度また戦おう! 今より成長してたら、今度は唇にくれてやる!」
「…………………」
こうして俺は何の言葉も返せぬまま退場した。実況や観客が何か言っていたが、そんなものは耳に入らない。
逃げ去りたいと思う気持ちがあるが、それはなんとなく出来なくて、俺は鬼嫁の待つ場所へと戻って行った。
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