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◇
「お疲れさん。どやった?」
試合が終わり、観客席に移ろうとする猫宮アリスに廊下で声をかける一馬。
「いい後輩をお持ちっすねー。何かこう……ズバババーンってきちゃいました」
ところで、と猫宮アリスは言葉を繋げる。
「聞いていた話と全然違うんだけど?」
「ん? 何がや?」
と、一馬は意味あり気な笑みを浮かべる。
「魔力量は怪物クラスだが、後は至って平々凡々。精神的にもあまり強くなく、短気で脆いって私は貴方から聞いていたんだけどー」
「その通りやったろ?」
「バーロー。どう見たらあれが普通って言えんだよ」
試合の最後、猫宮アリスが急に態度を変えたが、それは猫宮アリスが歩を危険と判断しての事。
「母親が〔女王〕如月あゆみ、だっけ。じゃああの子は魔王だ魔王。プッ、主人公なのに魔王て」
「メタ発言禁止な」
ほんま自由なやっちゃっな~と溜息混じりに一馬は口にする。
「ま、強かったやろ?」
「どこかの三年と違って私様は圧勝だったがな」
そして怒られる前に逃走した猫宮アリス。そんな猫宮アリスが走り去った方を見つめ、
「ほんまあいつとだけは仲良くなれんわ」
そう口にした。
猫宮アリスは歩に何を見たのか、感じたのか。それはその内語られるであろう。
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