銀狼

9/13
前へ
/109ページ
次へ
「夢じゃない」 廉は直ぐに起き上がり、男狼へと歩いていく。 「僕は七海を傷つけた。そしてたぶん、これから先も傷つける」 「なんだと……!」 「でも、七海を守りたい気持ちは本当だから。夢にならないように強くなるから。だから、」 廉は赤い刀を出し、切っ先を男狼へと向ける。 「僕に七海を守らせろ」 そんな言葉を向けられた男狼の怒りは上昇する。血が滲み出る程拳を握り締め、青筋を浮かべている。 「てめぇじゃ役不足なんだよ。自分にも勝てない奴が強くなるなんて、ほざくな。それと」 男狼は何故か目の前の廉じゃなく、自分の後ろ、何もない所を殴った。 「"盾"!」 だが、その何もない所に赤い盾が現れると、男狼の拳が盾を砕いた。 「気づいてないとでも思ったのか? 俺は狼。てめぇの匂いが後ろから来てることくらい気づいてんだよ」 男狼の目の前にいたはずの廉が消え、男狼が殴った場所に廉が現れる。 どうなってんだ? 「三人が邪魔だな。ご主人、そっちの三人頼んでいいか? 危ない時は助けっからよ」 「りょーかい。気の済むまで、戦っていいよ」 状況整理が出来ていない俺の事など知る由もなく、廉VS男狼。天城、大和、奏VS白河の構図が出来上がった。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

365人が本棚に入れています
本棚に追加