365人が本棚に入れています
本棚に追加
「夢じゃない」
廉は直ぐに起き上がり、男狼へと歩いていく。
「僕は七海を傷つけた。そしてたぶん、これから先も傷つける」
「なんだと……!」
「でも、七海を守りたい気持ちは本当だから。夢にならないように強くなるから。だから、」
廉は赤い刀を出し、切っ先を男狼へと向ける。
「僕に七海を守らせろ」
そんな言葉を向けられた男狼の怒りは上昇する。血が滲み出る程拳を握り締め、青筋を浮かべている。
「てめぇじゃ役不足なんだよ。自分にも勝てない奴が強くなるなんて、ほざくな。それと」
男狼は何故か目の前の廉じゃなく、自分の後ろ、何もない所を殴った。
「"盾"!」
だが、その何もない所に赤い盾が現れると、男狼の拳が盾を砕いた。
「気づいてないとでも思ったのか? 俺は狼。てめぇの匂いが後ろから来てることくらい気づいてんだよ」
男狼の目の前にいたはずの廉が消え、男狼が殴った場所に廉が現れる。
どうなってんだ?
「三人が邪魔だな。ご主人、そっちの三人頼んでいいか? 危ない時は助けっからよ」
「りょーかい。気の済むまで、戦っていいよ」
状況整理が出来ていない俺の事など知る由もなく、廉VS男狼。天城、大和、奏VS白河の構図が出来上がった。
最初のコメントを投稿しよう!