銀狼

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「いやいや無謀だろ」 と、戦いの構図が出来上がった途端、俊平が口出しをする。 「あの男狼が強ぇのはわかったけどよ。白河はあの三人に差はねぇどころか、ちょい下回ってるくらいだぞ?」 「一人倒すのも厳しいのに、相手は三人」 「……無謀だな」 俺も道長も俊平と同じ事を考えていた。 もう大分変わったが、入学して直ぐ行われた対抗戦での結果を見れば一目瞭然。 俺と引き分けた奏に道長をギリギリまで追い詰めた大和。そして廉に勝利した天城。 とてもじゃないが、白河個人で挑める相手じゃあない。 「ーーーとか、みんな思ってんだろうなぁ」 白河はそう口にする。 「頼みのギンちゃんは、廉と戦ってるし、みんな強い。これは困った状況だよ」 でもさ。白河はそう言葉を続ける。 「大事な『友達』二人の戦いを主として、幼馴染として邪魔したくないんだ」 使い魔である男狼のことを、そして好きな相手である筈の廉の事を『友達』と白河は言った。 「それにさ、今までの試合みたいな事を言わせてもらえば、わたしは〔銀狼〕だよ。三人を同時に相手にするなんて、造作もないよ」
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