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『…あとちょっとだね。卒業まで。』
「うん。…お前があの高校にいないのって想像出来ないかも。」
やっと言葉に出来るようになった。
『…うん。俺も。…悲しい?』
「…そりゃな。てかそれはお前だけじゃねえし。近藤とか他の奴らもだし。」
『…ふふ…ですよね。』
「…なに。」
『…せんせーっぽい答えだなぁって。』
「…」
『向葵~?行くよー!』
遠くの方から女の人の声が聞こえる。
「…あれ?お母さん?」
『…あぁそう。これから合格祝いに外食だって。』
ちょっと声が不機嫌になったのが面白い。
「…めっちゃいいじゃん。ちゃんと祝われろよ?じゃあ切るぞ。明日な。」
『…もっと話したかったのに。』
「…ふふ。明日会えるだろ。家族大切にしろ?」
『…うん。ありがとう。じゃあね。』
「…うん。」
三浦が切ってから切ろうと思ったのになかなか切らない。
「…あのー」
『…せんせーが切るの待ってた。』
「…っふ俺も。」
『…せんせーから切って。』
「わかったよ。じゃあまた明日な。」
今度はすぐに切った。
ちょっとでも迷いがあれば、また声を聞きたくなりそうだったから。
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