~黙って、手、触っていい?~

7/10
前へ
/10ページ
次へ
「苦手なものってなに?」 うーん。 「ゆりは地震って苦手なの 地震があるとびっくりしてしまうもん 秀くんは無事かなって…」 俺もゆりちゃんのこと考える。 地震があるたびに、絆、確かめ合えればいいね。 「ゆりは今まであまり良い人にめぐり合えなかったのかも…」 俺は言った。 「ゆりちゃんは良い人にも、悪い人にも影響を受けやすいと思う だから今度は良い人 俺の恩師に良い影響を受けて欲しい 大切な彼女だから」 ゆりちゃんは黙っていた。 その顔には陰りがあった。 なぜ俺はそのサインを見逃してしまったのかー いや、そのサインには気づいていた。 だけど、そのサインに気づかないふりをした。 「ゆりは人間関係を広げるのってすきじゃないんだ 人間関係が広い方が楽しかったり、便利だったりするかもしればいけど、それで煩わしいこともあるから…」 うん。 「だから一緒にいて、ゆりのこと独り占めにして?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加