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「ん?魔王が泣いている気がする……………。その近くに【使徒】の気配だと?だが、下級だな」
高層ビルが建ち並ぶ場所、ある一件のビルの屋上にソイツは居た。
夜でもわかる、真っ白で雪の様に美しい髪。
瞳は、血よりも濃い深紅であり真紅。
「お、フェルトが止めを刺したか」
この者こそ、全ての吸血鬼の始まりとされる存在。
【黙示録の吸血鬼】。
「下級の使徒ごときでは、フェルトの足下にも及ばないな。さて、俺も自分の仕事をするか」
そう言って、彼はその場から消えた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ヒッ!?たっ!助けてぐガギャッ!!」
一人、また一人。人からモノへと、肉塊に変わる。
「何か無駄に手の込んだ術式だったから、ここかと思ったんだが。ハズレだったか?」
彼が通った場所は惨劇と言っても生温い程の地獄。
「た、助けてくれぇ。なっ、何でもする!何でもするから!」
一人の男が彼に向かって叫ぶ。
「………そうか。何でもしてくれるのか」
少し考える素振りを見せる彼を見て、男の顔は嬉しそうだった。
「おい、聞きたい事がある」
考えていた彼が男に聞いてきた。
「魔女は何処だ?」
「……………え?」
「ふむ、もういいぞ」
グシャッ
男は物言わぬ肉塊へと、変わった。
「使えんな。さて、愛しの魔女は何処に居るのか?」
そう言うと、彼の体は紅い霧となり消えた。
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