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薄暗い地下。
そこは牢獄。大罪人を収容している場所。
そんな場所に、明らかに場違いの男が居た。
【黙示録の吸血鬼】。彼である。
彼の左右には牢屋が幾つも有るが、彼はどの牢屋にも目もくれず、真っ直ぐ地下牢獄の奥の奥へと進んで行く。
「こんな所に居たか。我が愛しの魔女。いや、【不死の魔女】よ」
彼は地下牢獄の最奥に有る、一つの牢屋の前に居た。
「おや、また随分と懐かしい奴が来たものだな。吸血鬼」
牢獄の中に居るのは、腰まで届く漆黒の髪。
瞳は、深海を思わせる蒼。
肌は白く、薄汚い牢獄に居るのに染みひとつ、汚れひとつ見当たらない。
性別など関係無く、誰もが羨むスタイル。
【不死の魔女】。過去、現在、未来において、彼女を越える魔術師は存在しない、現れる事は無いと言われる。
「それで?100年間もほったらかしにしたのに、今更私が欲しいと?都合がよすぎではないか?」
そう、魔女は彼に鋭い視線を向ける。
「そうだな。確かに、都合がよすぎる。だが、お前の力が必要なのだ。頼む、力を貸してくれ」
彼は魔女に頭を下げる。
もし頭を下げる対象が、不死の魔女でなければ、真祖達が発狂しているだろう。
「………………………………………………………………………はぁ~。分かった。もうよい。頭を上げろ。お前のそんな姿は見たくない」
下げていた頭をゆっくりと上げる。
「………それじゃあ」
「あぁ、力を貸してやる。まったく、惚れた方の敗けだな」ボソッ
「ん?何か言ったか?」
「なっ/////何でも無い!//////」
「いや、聞こえなかった。もう一度言ってくれ」ニヤニヤ
「貴様ッ!////嘘だろう!!言わんと言ったら言わん!!」
魔女は顔を赤くして自分を封じてあった拘束具を外し、牢屋を出ていった。
「ふむ………………少しイジメ過ぎたか?」
にしても、
「拘束術式をいとも簡単に“素手”で外すとは、流石だな」
「おい!何をしている?行くのではないのか?」
魔女は彼を睨みながら待っている。
若干、頬が赤くなっているので恐くない。
「あぁ、今行く」
彼は魔女に駆け寄ると
「これから、よろしく頼むぞ。“_____”」
「その名は懐かしいな。ふふ、あぁ頼むぞ吸血鬼」
その言葉を交わした後、二人の姿は紅い霧に包まれ、消えた。
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