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「貴様私を目の前にずいぶんな態度だのぉ?生皮剥いで売り飛ばしてやろうか?」
鼻で笑えば癪に障ったか、毛並みを逆立ってて怒るウサギだが。もっふもふになっただけで恐怖のきの字もないわ!
「うるせぇ!!自分の胸に手を当てて考えてみやがれ!!誰のお陰で俺の家半壊してると思ってんだ!!」
「胸に手なぞセクハラか年中発情ウサギ。劇的リフォームであろう?」
「クソアマァァアアアア!!!!!」
「お気を確かに見知らぬ兎殿!!姉上御自重なさりませ悲劇的リフォームすぎます!」
毛を逆立て過ぎて最早白マリモであったウサギが私に飛び掛かろうとすると、有住が私とウサギの間に身を滑らせる。ふむ、過保護よな。
「退け!!てめぇもその女とグルか!!」
「退きませぬ!落ち着いてくだされ兎殿!姉上とサシで勝てるとお思いか?!」
何気に失礼よな。有住が真剣にウサギを宥め空かしておるので、私は大人しく静観する。さっき怒られたしの。
「グッ....」
「南蛮化が進む昨今に何を思ってか熊に素手で挑む猛者ですよ?」
「うぅ...お、俺だって解ってんだ。家素手で壊されたんだからな。だが腹に据えかねるもんだろうよ....」
私の名誉のために言うが原因はウサギぞ。後、家具使ったから素手では無い。
「えぇ。ですが貴殿が命を差し出すにはあまりに....」
「グスッ...あぁそうだな。悪いなにぃちゃん、もう大丈夫だ。」
ウサギの涙を何処からか出した手拭いで拭いてやり爽やかに笑う有住とウサギ。そういえば有住は獣好きであったな。下心が見えておるが、そんなにもふりたいのかお主。ウサギの頭を撫でるかしまいか、手をうごうごしておるのが此方からしっかり見えておる。
「話はすんだかの?」
いい加減放っておかれるのも好かぬのだが。
「一先ず、姉上は兎殿に謝罪してくださいませ。家を破壊等、度を越えております。」
「...すまなんだ」
そこはかとなく腹立たしい故頭は下げぬぞ。
「...まぁいい。お互い大人になろうじゃねぇか。」
「己からも、姉がご迷惑をお掛け致しまして、誠に申し訳なく。」
深々と頭を下げ謝罪を口にする有住に気を善くしたか、ウサギは顔を上げさせ笑って見せた。と言うか動物的機微の差かウサギ故か、先程から普通の者には無にしか見えぬ有住の表情を感知しとるな。
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