有住=ありずみ=有住=アリス

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「さて、用件を聞こうか。ここじゃあれだ、中に入ってくれ。」 落ち着きを取り戻したウサギは手招き客間へ私達を通す。おのれ、私の時とは随分態度が違うようだの。まぁいい方向であるのだし、有住様様か。 「まずはにぃちゃん、初めましてだな?俺はアルバート。アルバート・ヘンリーだ。好きに呼んでくれ。」 「アルバート殿、己は鏡野有住と申します。以後よしなに。」 「あぁ、そのような名前だったのぉ」 「お前....」 「姉上ェ....」 なんじゃ、寒い眼で此方をみるでない。アルバート等山田辺りに改名すれば忘れぬのだ。此方をみるな! 「姉上ねぇ、姉弟か。似てねぇな?」 「よく言われます。」 「よいではないか。ウサギともなればお主のように毛色が違わねば個体差すら解るまい。」 「姉上?失礼ですよ。」 「ははっ成る程な。有住は大事にされてんな。」 「はぁ、?」 私と有住を交互に見やり、愉快そうに笑うウサギに腹が立つ。自分で言うのはいいが、他のものに否定されるのは豪腹なのじゃ。いやらしく笑うでないわ。 「それで?俺に何の用で来たんだ?」 「猫が見つからぬでな、何か聞き及んでおらぬのか。」 「アイツは俺たちの中でも一等可笑しいからなぁ。公爵夫人の処じゃないのか?」 紅茶を啜りながらなに食わぬ顔で話すウサギ、こやつなにも知らんのか 「よらずに済むなら行きとうない。」 「お前にも苦手なものがあったのか。これはこれは。」 「黙れ。あやつはキーキー喧しくて敵わぬ。」 思い返すだけで鳥肌が立ちよる。まこと、あのように小さくこ喧しいものは煩わしくて寄りとうないのだ。げんなりといって差し支えない私の表情にしかしてウサギはにんまりと、どこぞの猫のように笑って見せ 「なら尚更居るんじゃねぇか?なんたって自他共に認める愉快犯だからなぁ。」 「うぐっ言えとるの。なれば腹を括るしかあるまい...はぁ」 嫌な予感にため息しか出ぬわ。ううむ、しかし興味の対象が有住と分散されればそれほど酷くはないやも知れぬ。決して二乗等ということは考えたくもない。
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