九章★幸福な時間 #2

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「鈴木先輩、大阪かぁ。」 と、健太がつぶやく。 一年に一度の大きな辞令。 「寂しくなるね。」 私が言う。 鈴木先輩と健太とはよく3人で飲みに行った。 同じプロジェクトを3人で成功させて以来凄く仲良くしていた。 「うちの会社、異動多いっすよね。」 健太が言う。 「うん、結構容赦ないよね……。」 いつ自分たちもなるものかヒヤヒヤする異動シーズン。 何の男尊女卑か、地域の大きな異動は基本的に男子だけ、大手企業の昔の名残か。 出世も転勤も男子の率が圧倒的な割合で多い会社だ。 私はそこについては何のハングリー精神も無く むしろラッキーだとすら思っていた。
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