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その視線の先、
水原先生は、何故か複雑そうな顔で言った。
「何かそれ、微妙。真田の話とかもういいから。てか…質問ももう終わり」
「えっ…」
そう口にした瞬間、視界に入るのは以前にも一度見たことのある天井。
そして、それを遮るように映る水原先生の姿。
ずっと寝室のベッドの上、先生が投げ出した脚の間に私は収まるように向かい合って座っていて、こうなる事を予想しなかった訳じゃない。
今はもう互いの息遣いすら聞こえてしまう距離…
こんな距離、私は知らなくて…
逃げるように視線を逸らしたけど、
「茉由」
そう、名前を呼ばれてしまったらそれまで。
先生ったら、ずるいな…
そんな思考もどこか、
ゆっくりと瞼を伏せて、
優しく塞がれる唇に私は応えた。
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