5人が本棚に入れています
本棚に追加
「おかしいとは思わなかったか? なんであの子は、いつもお前に飽きもせず百件もメールを送り続けていた? もしかして良く、裸で抱きついてきて、家に泊めなかったにしても冷蔵庫の中身が消えていくのは、彼女が勝手に料理を作ってくれたからじゃないか? まるで君の妻になるために生まれてきた様に」
結局の所、半信半疑だ。
スケールが大きすぎて、遂十分前まで教師に怒られていた時間が懐かしい。
その時、ずっとサギリが打ち込んでいた空間端末に反応が現れた。空気上に映し出されていた虹色の光がセイナの遺体を包み込む。するとはだけた彼女の胸元に、下着の色とは相対的な黒い紋章が映し出された。見た事の無い紋章だった。
「管理者の証……」
「え?」
「この世界はどうやら十三人の人間によって管理されているらしい。ここの世界と、元の世界を行き来してな。この子も管理者の一人だったんだよ」
「……」
「この子の部屋に何かがある筈だ。何か情報がある筈だ。それにこれからこの子の身体も調べれば恐らく何かが見えてくる筈だ。女子の身体を探るのは少し気が引けるけどね……ただ、この子は僕をどうやら監視していたようだ」
「監視……だと?」
あれだけ好意を寄せているように見えていたのは、監視をする為に近づく口上だったとでも言うのか? だがそれだけでこんな少女を殺せてしまったサギリも大概だった。自分にはとても出来ない。やはり済む世界が違いすぎる。
「そうだ、この子は最初からこの世界の真実に気付く危険さを持った僕を監視するために――」
◆ ◆
「管理者権限に基き命令する。劉生魔法学園高等学校生徒の第一制限を解除及びこの木村セイナの指揮下とする。是を持ってID.number2087963514アマノサギリを排除せよ」
瞬間、清水シイタの意識が断絶された。見て取れたサギリが声を掛けるも既に届かず、再び目を覚ました時には鬼枷を簡単に解除し、立ち上がり目の前の標的をただ見据えていた。
そこに清水シイタの人格は皆無だった。
そして――確かに首の骨を折ったはずの木村セイナが立ち上がっている。こちらも機械的な目つきをしているがしかしシイタと違い人格は残っている。ずっとサギリを監視し続けた、管理者本人としての人格が。
展開は直ぐに進む。
最初のコメントを投稿しよう!