WELCOME TO LIAR STORY!

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「――さ、サギリ先輩、どうしてこんな時間に!?」 「セイナちゃん!?」  返事をしたのはシイタである。  劉生魔法学園高等学校の校門には二人の後輩でもある小柄な少女――木村セイナが何か探知機のような物を使って空気に当てていた。ふわりと優しい浮きがある橙色のポニーテール、兎の様な小動物の雰囲気を醸し出す幼そうな顔に究めつけの眼鏡。流星魔法学園高等学校なんでも部のマスコットキャラクターでもある。  いつもはこの時間にやってくるシイタに挨拶してくれるのだが、いつもは授業時間中に来ない天才魔術師サギリの登場にシイタの存在が掻き消されてしまったのだろうか。彼女の視線はサギリに釘付けだ。こうなるとシイタは遣る瀬無い。  しかしどうだろう。対するサギリは若干不穏そうな顔を現していた。確かにシイタの目には層映った気がする――が直ぐにいつもの“イケメン顔”に戻りキラキラさせるセイナの心を奪っていた。天才魔術師でもある彼は容姿の良さも手伝ってアイドル的な位置づけにもある。 「久しぶりだね、セイナちゃん。最近は行ってないけど、なんでも部の様子はどうだい? シイタやミサネ達はちゃんと指揮れているかい?」 「はい。“ミサネさんは”毎日忙しく皆を引っ張ってくれています」  詰まる所、シイタが引っ張っているのはなんでも部の足という所だろうか。シイタもその自覚はあるし、セイナの今の言葉も最大限シイタを蔑まずにしかし正直な言い回しだった。  流星魔法学園高等学校なんでも部――勿論この学校内部ではなんでも部で通るのだが、要するに精錬された魔法でなんでもする部である。ここ最近進めているのは魔獣フェンリルと魔法植物“竜喰い草(マントラドラ)”の養育、新型魔法幻想音楽オーケストラ“無限演奏”、街の魔法標識、魔法広告の作成等前百種類に及ぶ。それだけの数をどうにか千人もの部員で取り仕切っている。  これ程の人数が集まったのはサギリが唯一所属する部活でもあるためだ。実に流星魔法学園高等学校の生徒人口の10%が集まっている。 「そうだ! 今日部活で劉生魔法学園創立一万年のパレードの計画書を生徒会と一緒になんでも部で考えるんですけど、サギリ先輩来て頂けませんか? 世界に名立たるサギリ先輩がこの一件に携わってこそ成功すると思うんです!」 「はは……まあそうだね」
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