WELCOME TO LIAR STORY!

8/26
前へ
/26ページ
次へ
 以上、清水シイタから見た田辺ミサネである。 「何だか今、失礼な事を五、六個思われた気がする」 「安心しろよ、三個くらいは褒めておいたから」  次の授業が終われば昼休みという所でシイタは前に座るミサネにサイコキネシスで頬を抓られていた。人の頬の弾力性を知る。 「やっぱり私、シイタの部屋に今日から泊まる。そうしないと起きそうに無いんだもん」 「勝手にしろ、絶対に冷蔵庫の中身はゆずられねえぞ」 「私はあなたの目覚まし時計になってあげるんだよ」 「どう見積もっても人一人分の食い扶持と割に合いません」 「私はあなたを思って言ってあげているんだよ」 「頼むからこれ以上俺を女子の裸に慣れさせないでくれ、人として何かが終わりそうだよ」 「? 別に触りたければ触ればいいのに」  昔からこうなのだ。昔プールに一緒に行ったとき、“めんどくさくて更衣室汚いし魔法で隠すのも疲れるからとりあえず着替えるね”でばっ、と水着を脱いだ事があるのだ。そのまま何もかもを曝け出しながらタオルで全身を拭いてしかも暫く裸でヌーディストビーチの如くジュースを飲んだ後漸く服を着るのだからもう一緒に行きたくない。自分まで哀れな露出癖の人間だと思われる。  勿論、そんなミサネに手は出していない。  手を出したら男として負けな気がするのだ。  未だにミサネがどうしてそんな娘に育ってしまったのか。しかしシイタはミサネがそうなった理由を語れるとしたら“生まれつき”としか言えないだろう。そんな生まれつきにシイタは物心ついたころから振り回されていた。まるでミサネの姉の様に振舞って、ミサネをその度に叱ってきた。今は立場が逆転してしまっているが。  一般教養も魔法教養カリキュラムも主席レベルだというのに。自分と違いなんでも積極的に取り組むというのに。なんでも部の部長をやるくらいなのに。 「でもどっちにしても今日は生徒会との学園百年祭パレードの計画書会議には参加してもらうから。逃げたら永遠に脳内にウイルスメール流し込む魔法プログラム作る」 「うわ……」  ミサネはサギリ程ではないにせよ天才であり、そして最上級天才のサギリとも幼馴染である。最先端魔法である“魔法プログラム”も簡単に扱えてしまう。  それを出されてはシイタも逃げる訳には行かない。 「それにしてもシイタ、サギリはお前に何を話したいんだ?」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加