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槍が欲しい。
あれからチュートリアルとやらを一先ず置いて一番に思いついたのがそれだった。
幼い頃から死ぬその時まで、ずっと傍らにあったそれがないことに落ち着かなかった。
見渡すが、やはりこの部屋にあるのは椅子だけ。
その他には何もない。
魔王も生き返らせるならちゃんと装備くらい揃えておいて欲しい。
そんな叶わぬ願いを抱きながら、一つ溜め息をついた。
窓はすでに消えていた。
休む際に邪魔だ、とつぶやくと立ち所に消えた。
その時は慌てたが、窓よ出ろ、と願うと再び現れたのだ。
どうやら、指輪を介してある程度考えたことを読み取ってくれるようだ。
ならば、と期待して槍が欲しいと念じてみる。
『武器の精製命令---受託。分類を槍に固定---一覧を表示します。』
窓が今までより大きめのサイズで表示される。
そこには様々な槍の名前が並んでいた。
その横には何やら数値が並んでいる。
消費ポイント、と書いてある。どうやら例の管理ポイントとやらを消費するらしい。
「あ・・・、あった」
一覧の真ん中に、相棒の名前を発見する。
【蒼槍 ストラクタ】
我がネグルア男爵家に伝わる家宝だ。
長男は剣術を得意とし、宝剣を授かった。
次男は魔法を得意とし、魔導書を授かった。
そして、自分は子供の頃に槍を授かった。
家宝が槍しか残っていなかったから槍を与えられたのではないか。
今更ながらそんな考えが頭を過りかけたが、あえて無視した。
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