第五章 里桜を救い出せ

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◇ 数週間後、若い女の死体が東京湾に浮いた。 高級ブランド服を着ていたことで店を調べ、顧客名簿から「塔ウルミ」という名を警察は突き止めた。 さらにホテルより客が料金を払わないままずっと帰ってこないとの通報があり、両者が繋がった。 ホテルの部屋を調べると、沢山のブランド服などの私物は残されていたが、金品類は一切なかった。 さらに身元を示すものも一切なく、捜査の中で「塔ウルミ」は偽名であるとわかった。 結局他殺の証拠があがらず、警察は事故死として結論付けると捜査を打ち切った。 報告書には次のように書かれた。 「塔ウルミ。本名不詳。年齢不詳。職業不詳。住所不定。死因 溺死。事故死と推定」 偽名ゆえ遺族には連絡できず、塔ウルミの遺体は身元不明のまま横永市役所によって無縁仏として葬られた。
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