【第24話】切れた線と

24/40
前へ
/40ページ
次へ
  私の話を聞き終わった神谷さんが、私たちに微笑んだ。 「話してくれて、ありがとう。状況は、だいたい理解しました」 そう言うと、机の上で両手を組み直して、少しだけ前のめりになる。 その動きにつられて、神谷さんの手元にあった視線をそっと上げると、優しい笑顔と目が合った。 「それで、今後のことですが……どうしたいですか?」 私に向かっての質問だ、ということはわかる。 けれど、どう答えていいのかよくわからなかった。 「どうしたい、とは……?」 聞き返した私に、神谷さんは穏やかに言う。 「もう佳境とはいえこの仕事はまだ終わっていません。羽村さん、あなたはどうしたいですか?」 そこまで言われてようやく質問の意図を理解した。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1561人が本棚に入れています
本棚に追加