【第24話】切れた線と

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  結局あの日は、朝まで仕事に没頭していた。 おかげで翌日は、マトモに長瀬と顔を合わせずに済んだ。 深夜のオフィスでぼろぼろに泣いたら、少しだけすっきりしたのは事実。 溜まりに溜まったストレスという名の暴言を、思いきり吐き出したからかもしれない。 御園さんとの仕事ももう少しで終わりを迎える。 明日のデータ納品で、一区切りがつくはずだ。 これでやっと、少しは仕事も心も落ち着く……と思う。 気がかりなのは、あの日からほとんど顔を合わせなくなった、長瀬のこと。 長瀬は明日からの撮影の準備やその他諸々で、とても忙しそうだった。 私の方も変わらずバタバタしていたから、長瀬と向き合う余裕もなかった。 開いた距離を埋めることが出来ずにいるのは、外出が増えた長瀬の仕事のせいでもあったし、八つ当たりしてしまった気まずさのせいでもあった、と思う。 ……言い訳、だけど。 .
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