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正直言って、内心、穏やかではなかった。
自分から撥ね付けたくせに、長瀬があの夜のことをどう思っているのか気になって仕方なかった。
もう、二度と以前のように戻れなかったらどうしよう。
そう思うと怖くなる。
一刻も早く長瀬に謝らなくては。
ちゃんと元通りに、いままでみたいに普通に話して飲める関係に戻りたい。
そう思っているのに二の足を踏むのは、やっぱり勇気がないからだ。
何しろ自分から長瀬を遠ざけたんだ。
このままが嫌なら、私の方から歩み寄るしかないのはわかっている。
ストレスと嫉妬をごちゃ混ぜにしたひどい八つ当たりを、きちんと謝罪しないといけない。
……けれど。
いざ、勇気を振り絞って話しかけてみて、もし拒絶されたら……。
そんなことを思うと……体が固まる。躊躇してしまう。
あーあ、もう。
ほんと、馬鹿みたいだな、私。
そんな風に心の中で自分に呆れる日々だった。
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