【第24話】切れた線と

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  『とにかく、早く修正してください。三十分待ちます。できますね?』 三十分、って。 単純に引き延ばしたり縮小したりするだけならそう考えるのも無理はないかもしれない。 だけど、判型さえ違うサイズ変更は、そんな単純な修正じゃない。 私は慌ててその言葉に反論する。 「無理です! サイズ変更となるとバランスの修正もありますし……もう少し、何とかなりませんか?」 『はい? あなたのミスなのにどうしてこちらが待たなくてはならないんですか?』 「ですから、出来るものならやります! でも、データ制作にはどうしても時間がかかるんです! お願いします!」 修正して、確認して、データを作り直して、また確認して、送信する。 これからやり直す作業を考えれば、ざっと計算しても二時間……少なくても一時間半は欲しい。 急ぎの作業ほどミスが怖いから、チェックも厳しくしなくてはならない。 必死に訴えかけた私の言葉に、御園さんは心底呆れた、とでも言うかのように溜息を吐いた。 .
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