20××年、10月1日 真祖の吸血鬼

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 触れてきた黒雪の手を軽く振り払いながら笑うが、黒雪は無表情で俺の顔を見ている。  どうやら顔色が悪い事を心配させてしまったらしく、俺は笑みを浮かばせ黒雪の肩を叩いた。 「でぇじょうぶだよ。心配すんな」 「心配などしとらん」 「あ、そうなの?」  きっぱりと言い放った黒雪は大丈夫だと認識したのだろうか?  それ以上しゃべることなく歩き出してしまう。  黒雪の背中を見た俺だったが、彼が自分を見ていない事を確認した後、口元を抑える。 「っ……」 (実際、ちょっとやばかったんだぁ……)  具合が悪くないというのは、俺にとっては嘘になっていた。  実際、気持ち悪かったのは本当の事で、顔色が悪いというのも本当の事だ。  だが、これはある意味、『空腹』と言う合図。 (クソ……血が飲みたくなってきやがった……)  俺が具合が悪い理由――それは、『吸血鬼』なら起こる事、『吸血衝動』だ。
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