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歯を噛み締めながら、その苦しみに耐え始める。
急いでポケットから『血液錠剤(タブレット)』を取り出そうとしたが、手が震えてしまい中々取り出せない。
「チッ……」
舌打ちした後深呼吸をし、震えた手で鞄から取り出そうとすると、目の前には春風の顔があった。
「っ!!」
「どうしたのはるくん?もしかして本当に具合が悪い?」
「い、いや……っ」
顔を覗かせ、近づいてくる春風の行動に対して、俺はただ迷惑としか思えなかった。
春風の首筋がどこか綺麗に見えて仕方ない。
このまま、噛み付いてしまいそうで怖かった。
鞄を急いであさり、血液錠剤(タブレット)を発見するとすぐに一粒口の中に入れる。
飲み終わったのをしっかりと確認した後、深呼吸して春風から一歩離れる。
「はるくん?」
「……大丈夫。ほら、顔色悪くないだろ?」
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