20××年、10月1日 真祖の吸血鬼

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「……寿」 「ん?」 「お前、本当に大丈夫なんだろうな?」 「顔色が悪いって事か?もう悪くないだろう?大丈夫だって」 「……そうか」  簡単な会話が終了する。 (やばい……めっちゃくちゃ気まずい)  黒雪とこうして二人になるのは、正直苦手だった。  黒雪はあまり会話をしないし、無表情だし、寧ろ笑ったところなんて見たことがない。  早く二人が戻ってこないだろうかと少しばかりイライラしかけていたその時だった。  カラオケ店の扉が開き、一人入ってくる。 「いらっしゃい――」  店員がいつもの挨拶をその客にしようとしたが、突如言葉が止まってしまった。  俺もふいに視線を向けてみると、そこには一人の少年の姿があった。 「……ん?」  
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