26人が本棚に入れています
本棚に追加
入って来た少年は、どこか違う雰囲気を出していた。
青い髪に赤い瞳、そして首に見えるその紋様を見た瞬間、驚いてしまった。
首筋に見えたのは、あれは間違いなく薔薇の紋様。
(……はぁ!?)
一瞬声に出しかけてしまったが、すぐに口を押さえ、声を抑える。
少年の首にあるのは黒い色をした薔薇の紋様――あの紋様には、意味がある。
何も知らない『人間』はわからないが、俺たちのようなものはわかる。
『吸血鬼』と言う証だ。
だが、俺は違和感を覚えた。
吸血鬼の紋様だと言うのはわかるが、黒い色の紋様は見たことがなかったのだ。
少年は辺りに視線を向けた後、驚いて口を押さえている俺に視線を向け、目があってしまった。
「……!」
少年は俺を見て何かを感じたかのように近づいてきて、そして両手を出し、突然俺に抱きついてきた。
最初のコメントを投稿しよう!