20××年、10月1日 真祖の吸血鬼

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 入って来た少年は、どこか違う雰囲気を出していた。  青い髪に赤い瞳、そして首に見えるその紋様を見た瞬間、驚いてしまった。  首筋に見えたのは、あれは間違いなく薔薇の紋様。 (……はぁ!?)  一瞬声に出しかけてしまったが、すぐに口を押さえ、声を抑える。  少年の首にあるのは黒い色をした薔薇の紋様――あの紋様には、意味がある。  何も知らない『人間』はわからないが、俺たちのようなものはわかる。  『吸血鬼』と言う証だ。  だが、俺は違和感を覚えた。  吸血鬼の紋様だと言うのはわかるが、黒い色の紋様は見たことがなかったのだ。  少年は辺りに視線を向けた後、驚いて口を押さえている俺に視線を向け、目があってしまった。 「……!」  少年は俺を見て何かを感じたかのように近づいてきて、そして両手を出し、突然俺に抱きついてきた。
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